■素の暮らし5月 指揮者 作曲家 山本 祐ノ介さん・ピアニスト 小山 京子さん

今月のエキスパート   山本 祐ノ介さん・小山 京子さんインタビュー

クラシック音楽のエンターテイナー

私達は音楽家として自分自身をエンターテイナーだと思っています。演奏を聴きにきてくれたお客様に喜んで帰ってもらう、それが使命だと思っています。

クラシック音楽というと、日本では特別に勉強した人しか解らなかったり、知っているという事が非常にインテリジェントなことである、と捉えていらっしゃる方もおります。それも素敵なことだと思うのですが、解らなくても暮らしの中でふと聴いた時に、TVで聴いた事がある、など入り口を見つけて入って頂けるように、クラシック音楽の喜びを一人でも多くの人に感じてもらる工夫をしていきたいと思い、活動をしています。


バッハもベートーベンも究極の作曲家として長年愛され続けているミリオンセラーの方々ですので、これからも長く聴いて頂ける音楽なのかなと思います。一回一回の演奏会を皆さまとの千載一遇の出会いだと思い、いつも全力投球で演奏することを大切にしています。

クラシック音楽の原点
心を動かすミャンマーのオーケストラ

ミャンマーでオーケストラの指導をしてほしいと依頼を受けて約五年。国営オーケストラの指導をしています。
当初は軍事政権下の影響で全く活動出来ていないミャンマーのオーケストラ。楽器はボロボロで、一曲聴いてみたらこれが信じられないくらい下手だったんですね。日本でのクラシック音楽のはじまりが今まさにミャンマーで追体験ができる状態なんです。
ミャンマーでクラシックの良さを伝えていく事、そこでもがく事によって、飽和状態になっている日本や、世界の先進国のクラシック音楽の未来への答えに結びつくのではないかと感じています。

何をしたらお客様が喜んでもらえるかを、日々考える事がクラシック音楽の原点を見つめる事になっているような気がします。ミャンマーでオーケストラを始める前はもっと仕事として音楽を捉えていたと思います。 ミャンマーに行くようになって、仕事にならないなという事ばかりですので、おもしろいかもしれないという視点でコンサートの作り方も含めて動くようになった。それで徐々に体質が変わっていったと思います。
日本での演奏会のように、クラシック音楽を知っている方々に向かって質のいいものをどんどん投げていく、ということではなく、全く知らない方々に音楽を配り歩く。そういう意味では非常にハードルは高いけどやりがいがある。

ミャンマーで覚えた事の一つは、演奏が上手いという事と人を感動させる事は、全くイコールではないということ。下手なオーケストラで私たちは何ができるんろうと考え、ミャンマーのメンバーと懸命にコンサートしていく中で、下手だけれども人を感動させる事ができるということが分かったのです。

会場全体が熱気に包まれていき、それが人々の心を動かす、そんな体験を幾度もしました。音楽と料理は似ていると父がよく言っていたのです。プレイヤーとして、作曲された古い作品があって、それを皆様に聴いて頂くわけだけれども、それは作品を自分たちが料理をしてお出しするということなんですね。
料理は前菜からメインディッシュまであるようにコンサートも同じ。同じ素材を使っても料理をする人によって違う料理になるように、音楽も喜んでもらえるように料理すれば、どんな状況でも人の心を動かすことができると信じ、これからも演奏を続けていこうと思います。


指揮者 作曲家 山本 祐ノ介さん プロフィール
両親ともに作曲家(山本直純、岡本正美)の家庭に生まれる。ハレーストリングクァルテットチェロ奏者、東京交響楽団首席チェロ奏者などを経て、現在ソロチェリスト、指揮者、作曲家として活躍中。


ピアニスト 小山 京子さん プロフィール
ショパンアカデミー卒業後、ミュンヘン国立音楽大学を最優秀賞で卒業。マイスタークラスを修了。マリア・カナルス国際コンクール第2位、フィナーレ・リグレ国際ピアノコンクール第1位、モンツァ国際ピアノコンクール第2位、及びゴールドメダル、などを受賞。

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