■素の暮らし12月 料理研究家 大原 千鶴 さん

今月のエキスパート   大原 千鶴さんインタビュー

料理は幸せをつくるもの

料理は本来すごく楽しいもので、幸せをつくるもの。豪邸に住んでも料理が出来なかったら不幸せだと思うんです。だから私は衣食住の中でも食が一番大事だと思います。食事はそのものがおいしいだけじゃなく、どんな楽しい豊かな時間を持つかが大切だと思います。おいしい料理に、どこかホッとするようなしつらえ、例えばあかりや器、お花などがあるとより幸せ感がふくらみます。家の食事がおいしい、楽しいと家族が感じていると、皆自然に料理をするのが好きになります。私の家では子供達が作る時は任せるようにしています。初めはすごいメニューが出てきましたけど、作っておいしくないなど味が自分で分かるので、次は工夫をして作るからだんだん上手になっていきますね。家で作って食べるふわっとしたお魚や、出来たてのカリっとした揚げ物、そういったものを食べられることが、家族の幸せをつくるのだと思います。

忙しい毎日の生きる糧
無駄を省いておいしくできる料理

料理研究家、子育てと忙しい日々の中、しっかりご飯を食べ、お酒を飲むことが私の日課です。毎日の生きる糧ですね。明後日までの仕事で、今日は時間があるからやった方がいいことでも、間に合うならやらずに今日の時間を大事にします。仕事の納期は守りますし、期待以上のものをやろうという意識を持って仕事はします。ただ自分の時間も大事にしないと、使われ疲れてしまうんですね。同じ作業でもやらされてやるのではなく、いつも主体的に楽しんでやる、喜んでやる、やりたくてやっていると感じられるスタンスでいたいですね。
料理研究家の名前をあげて活動し始めたのは家のことだけではなく、自分のための時間をもちたいという想いからでした。

長男が生まれた十五年前からスタートし、その後次男が続いて産まれ、二人の子育てと主人の母の介護生活の中で、毎日豊かに食事をしようとした時に、日々やっていた料理がみんなの役に立つことにだんだん気がついて。無駄を省きおいしくできる料理方法は何かということを、何年もかけて体感したことが今の料理研究家としてのベースになっています。家ではりきって凝った料理やおもてなし料理を作る必要はないんです。近くのスーパーで手軽に買える旬の食材を使い、生で食べれるものは生で食べて、簡単に蒸すとか塩をかけるとか1番シンプルな状態から食べ物を味わう方がいいと思います。それがついつい自分に自信がないから出来合いの調味料を使われるのでは?でもそんなことをしなくても塩をかけるだけで美味しいということを知ってほしいです。

素材や旬の仕組みや成り立ちを知り、好奇心を持つことが料理に必要な意識だと思います。料理がおいしくできるコツは、自分が食べたいイメージをもって料理をすること。例えばお魚なら、表面がパリッとしていて中がふわっと焼けている魚を焼きたいと思うイメージをもっていればそうできます。魚をただ焼くだけだと焼きすぎたり、火の通りが足りなかったり。意識をちょっとだけ鮮明にして作ることが大切なんですね。料理が上手になる秘訣は、意識をして何百人分作った、何千人分作ったとたくさん作ることです。たくさんの人に作ることで、材料や料理に対する意識が変わるんですね。それと料理を習慣化すること。運動選手が1日休んだらリカバリーに3日かかることと同じで、料理も作らなかったら勘が狂って下手になります。毎日料理することが大事だと思います。


料理研究家 大原 千鶴 さん プロフィール
奥京都、花背の料理旅館「美山荘」の次女として生まれ、山川の自然に囲まれて育つ。小学四年生のころから二十人分のまかない料理を担当するなど、料理の五感を磨く。二男一女の母として子育て、家事に加え、雑誌、テレビなどのメディア出演や講演、ケータリングなどで活躍。忙しい主婦の気持ちに寄り添った無駄のない合理的で作りやすいレシピも好評。

淀屋橋本店 営業時間

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