2025年9月8日・18日 エコール辻大阪様だしセミナー「おいしさの科学」

2025年9月8日(月)・18日(木)の2日間に分けて、今年もエコール辻大阪様にてだしセミナーを行わせていただきました。
今年で10回目となる今回も、「おいしさの科学」というテーマをもとに、昆布、削り節を中心に、合わせだし、めんつゆなど約30種類の試飲や、削り節体験などを通じて、日本料理の土台となる「美味しいだし」とは何かについて、学んでいただきました。

セミナーの様子

うま味の役割と素材当てクイズ

まず最初の試飲は、かつおだけのだしと、かつおと昆布の合わせだし。
どちらが美味しいか、どう美味しいか、そしてなぜ美味しくなったのかを改めて考えていただきます。
うま味に動物性と植物性があること、そして基本五味のお話を最初にしました。

そして、辻調様のセミナーでは定番となった、めんつゆの素材当てクイズ。
昆布だしの代わりになんの素材が入っているかを試飲して考えていただきました。
答えは、身近だけど意外な野菜。
プロの料理人でも当てるのが難しいクイズでしたが、今年も正解者が2名いらっしゃり、教室内からは感嘆の声と拍手が沸き起こりました。
「うま味」は昆布や鰹節だけではなく、様々な食材にも含まれている事を実際に味わって実感していただき、それが動物性と植物性に別れることもご説明しました。

3種類の昆布だしのうち、どれが美味しいかを挙手。ちょうど3分の1ずつに人気が分かれました

産地別、引き方別、5種類の昆布だし飲み比べ

食材の中でも特に「うま味」が多く含まれている昆布は、和食の要。
三大昆布のうちの2つ真昆布、利尻昆布と、料理によく使われている日高昆布の試飲をしていただき、また実際の原藻を見て触って、匂いを嗅いだりしながら、その味わいの違いや特徴を感じていただきました。
また、昆布の種類によっても味わいが違いますが、水出しと煮出し引き方によっても味わいが変わってきます。
その味わいの特徴を言語化したチャートを見ながら、どれがどのような味わいがするか、確認しながら味わっていただきました。

「昆布ってこんなに大きかったっけ」と改めて驚く学生もいらっしゃいました

うま味が出やすい水、出にくい水

だしを引く時に欠かせないのが、水です。
水の硬度によって、うま味の出方が違うお話をしました。
今年度の学生の中には韓国や中国からの留学生も多く、水の違いはその土地での生活や食事からも感じることが出来ます。
日本と海外での水の違い、また、日本でも関東と関西では硬度が違い、ミネラルが多い水はうま味が抽出しにくいというお話をしました。

普段飲んでいる水のペットボトルのラベルに、硬度が記載されています

削り節体験と、鰹節が出来るまで

削り器で実際に節を削り、ふわふわの削りたてのまぐろ節を試食して頂きました。
早々にコツを掴まれる学生が多く、皆さん楽しんで削られていました。
綺麗な削り節を削れると、グループから歓声や拍手が起こったりと、盛り上がる時間となりました。

動画では「荒節」と「本枯れ節」などの製法による違いや、魚の種類による味の違い、さらに使用した節の違うめんつゆの味くらべなどを行いました。

美味しい一番だしには理由がある

だしは日本料理の土台であり、だしが美味しくなければ、当然料理も美味しくはなりません。
一番だしを美味しく引けるようになるには、良い素材について知る事も大事ですが、「美味しくない」一番だしがどういうものなのかを知っておくことも重要です。
だしの美味しさを構成する要素やバランスを知っておくことで、美味しいだしをきちんと引けるようになるのです。

そこで、3種類の「美味しくない」一番だしを試飲し、美味しくない原因は何なのかを考えました。
「美味しくない」はその人の好みによるものでなく、「〇〇だから」という確かな理由があります。
美味しさには科学的な根拠があることもしっかりと学びました。

だし引きの実演

実際に昆布と削り節を使って、ポイントをお伝えしながら一番だしの引き方を実演しました。

塩分とうま味の関係性

毎回セミナーでは定番となった吸い地つくり。引きたての一番だしに、自分が「美味しい」と感じるまで食塩や醤油を入れて塩味を調整し、塩分濃度計で数値を測ります。
一般的に、美味しいと言われる塩分濃度は「0.8%~1.1%」ですが、引きたての美味しい出汁で作ると、それよりも少ない数値で「美味しい」と感じられる方が多い印象でした。
このことからも分かるように、一番だし自体が美味しければ、塩分が少なくても「美味しい」と感じることを実際に自分の舌で感じていただきました。

醤油と塩を少しずつ足して、塩分濃度計で濃度を測ります

授業の最後に、振り返りテストで学んだことの理解を深めました。

今年度も海外からの留学生が多く、海外における「和食」や「だし」、その土地での食文化について話し合い、「和食」や「だし」に注目する理由について改めて考えました。

今回のセミナーでは、「和食」が日本人だけのものではなくなり、海外に広まってどのように受け入れられているのか、今一度考える機会となりました。
このセミナーを通じて、美味しさのベースには必ず「うま味」があること、日本食における「だし」の大切さを改めて感じていただければ幸いです。

淀屋橋本店 営業時間

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