2025年8月29日 大阪中央電気倶楽部 「大阪における昆布、出汁の歴史」

2025年8月29日(土)、大阪中央電気倶楽部の午さん会にて、「大阪における昆布、出汁の歴史」というテーマで、会員の方に向けて講演を行いました。
室内に入りきらないほど多くの方々に聴講していただき、充実した時間となりました。

セミナーの様子

大阪の食文化と昆布にまつわるクイズ

地名と、歴史的な単語と、それにまつわるアイテムの3つをそれぞれ結び付け、どういう文化や歴史があるかを当てていただきました。
大阪中央電気俱楽部がある堂島浜も、大阪の食の歴史においてはとても重要な土地。
大阪が「天下の台所」と言われる所以となった三大市場の一つ「米市場」があった場所です。

クイズを皆様で考え、正解した数の多い方から順に、神宗から景品をお渡ししました。

商品パッケージに描かれている「絵図」

受講者の中には、「神宗」についてご存知の方もいらっしゃいましたが、改めて神宗についての自己紹介を行いました。
江戸時代の大阪の歳時記を記した「久留米藩中之島蔵屋敷絵図」に描かれている「蛸の松」をパッケージに取り入れていること、代表商品である「利尻塩昆布山椒入り」を少しずつですがご試食頂きました。
佃煮は自社製法を大切にしており、炊く時はだしから引いて、一釜一釜丁寧に人の手で作っていることをご説明しました。

天下の台所を支えた北前船、偉人たち

弊社のだしセミナーでは、必ずと言っていいほど紹介している「北前船」。
昔から「天下の台所」といわれていた大阪は、北前船(西廻り航路)によって北海道の特産品や九州の特産品が大阪に集まりました。
1618年に伊勢で生まれた川村瑞賢は、その西廻り航路の開発や、大阪の治水工事を進めた人物で、大阪の発展はこの方に支えられていたと言っても過言ではありません。
また、「銭五」こと銭屋五兵衛は、幕末の金沢に生まれた加賀の商人です。彼の生まれた金石は北前船航路の重要な中継港でした。米の売買を中心に商いを拡げ、最盛期には船舶200艘を所有した豪商で、「海の百万石」と呼ばれました。
また、高田屋嘉兵衛も北前船で活躍したうちの一人で、造船や海運業を通じて北海道の函館の漁業整備に貢献し、北方の開拓者として功績を残しました。

水とだしの関係

なぜ洗濯機にはタテ型とドラム型があるかご存知でしょうか?
最近ではドラム型がかっこいい、節水だとして評判ですが、タテ型洗濯機は日本ならではの特性を生かした家電製品です。
その特性とは、水です。

だしは料理の土台ですが、そのだしを支えているのも水です。
日本は縦長の島国で、関西と関東では水の硬度が違います。硬度が違うことにより、だしの出方が違い、それによって料理の嗜好が関西と関東でそれぞれに発展していったことをお話ししました。

さらに、世界の料理を見てみると、だしの作り方では、西洋や中華料理では肉の旨みを抽出し、その肉の臭みを取るために野菜を入れ、長時間に立たせる必要があります。

その料理方法が根付いた理由として、ミネラルが豊富な硬水であるため、だしが抽出されにくいことを説明しました。
そして、水やだしで食材を炊くのではなく、他の旨みのある食材を油で炒めるなどの料理方法が発展し、今の食文化が自然と出来上がっていったのです。

洗濯機もまた同じことで、ミネラルが多い水で洗うと洗剤が泡立ちません。
だからこそ少ない水で叩いて洗うドラム型が海外に多く、大量の水で泡立てて洗うタテ型が昔から日本にあることを説明しました。

小山のお話に、受講者様たちは興味深く頷きながら聞いておられました。

うま味の種類分け

普段皆さんが口にされている料理は、5つの味で出来ている事を説明しました。
その基本五味の中で一番最後に発見されたのが「うま味」です。
うま味には動物性と植物性があり、これらを掛け合わせると1+1=2ではなく、7にも8にもなるということを、実際に花こんぶと鰹節を口の中に同時に入れて味わっていただくことで感じていただきました。

また、色々な食材がうま味成分を持っている事から、ちょっとしたクイズでうま味の種類分けを行っていただきました。

身近な食材である「のり」には、じつは引っ掛けが…

一番だしの引き方の実演

昆布の最高級と言われる香深産の利尻昆布だしをあたため、その場で鰹節を入れ、一番だしを引く実演を行いました。
温かい引きたての一番だしの美味しさを改めて感じていただきました。

ここで重要なのが「塩分濃度」。
最近では、ご自宅用にも塩分濃度計が販売されており、使われている一般家庭も徐々に増えてきています。

その人が「美味しい」と感じる塩分濃度は、育ってきた環境や家庭の味などにより人それぞれですが、一般的に「美味しい塩分濃度」というのは決まっています。
それが0.8%。これは人間の体液と同じ濃度で、これが一番美味しいと感じるとされています。
それよりも高い数値で「美味しい」と感じている場合、塩分の摂りすぎということになり、健康のためにはあまりよくありません。
健康な食生活を送れているかを確認するためにも、一度塩分濃度計で、自分の舌がどうか知る事が大事とご説明しました。

また、だしを継続的に摂取すると、舌が「うま味」を覚え、他の料理の中の「うま味」を見つけやすくなります。うま味を見つけると、濃い味付けでなくても「美味しい」という満足感を得られるため、健康的な食生活を実現することができるのです。
だしの継続的摂取が味覚のトレーニングにもなることをお伝えしました。

今回の講演では、歴史や食にまつわる小話を織り交ぜながら講演させていただき、受講者の方々も楽しんで聞いておられる方が多数だったように感じました。

質問タイムでは講義に対するお礼と、神宗について質問をいただきました。

講義後には様々な方からお礼を言っていただき、充実した時間だったことが伺えました。
大阪にあるメーカーとして、だしの素晴らしさを広めていく企業として、大阪の食文化の発展に少しでも貢献できるように、今後も積極的に講演活動を続けていきたいと思います。

淀屋橋本店 営業時間

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