
2024年6月10日(月)、大阪市立中央区民センターにて、本年度も大阪区民カレッジ中央校の生徒様に向けて、セミナーを行いました。
簡単に神宗について紹介したのち、昆布の歴史、和食の土台となるだしや、世界のだしについて、実際に試食や試飲、削り節体験を通じて、改めてその基本に触れながら、理解を深めていただきました。
セミナーの様子
大阪の食文化と、世界の食文化
昔から「天下の台所」といわれていた大阪は、江戸時代には全国から米をはじめ特産物が集まりました。
また、大阪湾を通して瀬戸内海の豊かな魚介類に恵まれたほか、北前船(西廻り航路)によって、北海道の特産品や九州の特産品も大阪に集まり、大坂独特の粋な食文化が生まれました。
小山の食文化の歴史のお話に、受講者様たちは興味深く頷きながら、ノートを取っておられました。
だしは料理の土台
和食が世界無形文化遺産に指定されて以降、その和食の土台となる「だし」にも注目が高まっています。
世界の料理を見てみると、だしの作り方では、西洋や中華料理では肉の旨みを抽出し、その肉の臭みを取るために野菜を入れ、長時間に立たせる必要があります。
一方、日本料理では、昆布と鰹節の2つの素材だけで、旨みと香りを抽出します。日本料理の特徴として、①低カロリー、②旨みがメイン、③手軽で省エネという特長があるのです。

その料理方法が根付いた理由として、その土地の水の違いが大きいことを説明しました。
日本の水は海外と違ってミネラルが少ないため、旨み成分を十分に引き出すことができます。
そして、世界では水やだしで炊くのではなく、他の旨みのある食材を油で炒めるなどの料理方法が発展し、今の食文化が自然と出来上がっていきました。
旨みの相乗効果
料理の味は「5つ」しかないこと、基本五味について説明しました。
第5の味覚である「うま味」には動物性と植物性があり、この二つを掛け合わせると、「1+1=2」ではなく「7~8倍」に旨みが膨れ上がると言われています。

まぐろ節の削り体験
今回は、まぐろの荒節を削り器で実際に削っていただきました。
「昔は毎日鰹節を削らされていたよ」など、懐かしむ男性の方もいらっしゃる一方、初体験の方も多く、皆さん立ち上がって夢中で削られていました。
削り立ての節を試食しながら、「旨みがすごい!」など、削りたての美味しさに口々に感想が飛び出し、教室内の空気が賑やかになりました。
そして、昆布と削り節を一緒に試食し、口の中で「旨みの相乗効果」をダイレクトに感じていただきました。


一番だしの引き方の実演
昆布の最高級と言われる香深産利尻昆布のだしに、鰹節で一番だしを引きました。
温かい引きたての一番だしの美味しさをしみじみと味わう方も多数いらっしゃり、その素晴らしさを改めて感じていただきました。

2時間という短い時間でしたが、弊社の商品や歴史についてご存知の方も多く、最後の質問タイムには今回の授業についてだけでなく、弊社についての質問で積極的に手が挙がり、大変光栄な時間となりました。
昆布の歴史、和食におけるだしの大切さ、試食や試飲などの体験を通して、改めて日本の和食の素晴らしさを感じていただけましたら幸いです。
