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今月のエキスパート   佐々木 浩さん・小山 進さんインタビュー
インタビュー
衹園 さゝ木 主人 佐々木 浩さん:
料理は当たって砕けろの精神

家での料理は私自身がたまに作ることもありますし、毎年正月の雑煮は必ず私が作ります。一番下の子供が出汁が大好きで、うどんを作ってくれというと、鰹と昆布で出汁からひいて作ってくれるんです。結構まめな性格で、少し手間だよ、と言ってもおかまいなし。親が家庭で出汁をひくことからやっていると、それを見て育つ子供は当たり前となり真似をするようになるんですね。忙しい毎日の中で、出汁をひかない家庭が多くなっていますが、やはり親から子供への連鎖を考えると、親自身がしっかり食卓を作ることが大切だと感じます。最近では親子向けの食育のワークショップに講師として携わることが増えています。ひき立ての鰹と昆布の出汁と、塩や醤油で味付けした出汁との飲み比べから始めます。飲むとおいしさが分かる方が大半ですので、たった十分で出来る出汁ひきを家庭で続ける意味をもっと伝えていきたいと思っています。また、料理をする時にレシピ本を見ながら作る方が多いと思いますが、レシピに書いている通りの食材を必ず合わさなければならない、ということはないと思います。私たち料理人もそうですが、どんな料理が出来るか分からないけれども、まずは作ってみる。それが革新であり進んでいくことだと思います。忙しく時間がない中でも、冷蔵庫にあるこの野菜とこの肉と、という風にまずは合わせてみてください。作っておいしかったら、それが料理の楽しさにつながると思います。そんな当たって砕けろの精神がこれからの食卓を作っていくのだと思います。

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パティシエ エス コヤマ・オーナーシェフ 小山 進さん:
おいしいものは連鎖する

私はパティシエであり料理人でもある食に携わる人間として、家でキッチンに立つ時は、作り手によるおいしさの違いや、素材それぞれの役割を理解して料理する大切さを伝えるよう心掛けています。 毎年お正月には、私がすき焼きを作ると決めています。昆布で割り下を作り、お菓子屋ですのでそこに生クリーム入れて。それを楽しみに来てくれる友人たちは、それぞれの家庭でも一回やってみようというようになるんですよ。最近はお好み焼きを作ってふるまうことがあって、昆布からひいた出汁に、砂糖の入っていないメレンゲを合わせたお好み焼きで。ほぼ粉が入っていないから、ふわっとしてパクパク食べられる。食べた友人から講習会をしてほしいと依頼があって、そこで作り方や素材の大切さをしっかり伝えると、参加された全員の家庭で再現されたと聞きました。そうやっておいしいものは連鎖し、それが家庭料理の普及になるのだと思います。私自身も、お店で食べたお好み焼きがおいしかったら、なぜこんなにサクサクなのか、油は何だろうなど、お店の大将から会話の中で引き出して、面倒くさいなあ!と言われながら教えてもらいます。そのおいしいノウハウをサンドイッチや調理パン、キッシュに入れ込んでお客様に提供する。お菓子屋である私が少し工夫して料理し、みんなに食べてもらうことで、家できちんと手料理をしてみようかな、という空気が伝わる。その連鎖が大事だと思います。

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佐々木 浩さん、小山 進さんの対談を見る

プロフィール 衹園 さゝ木 主人 佐々木 浩 さん プロフィール
様々な料理店で修業し、27歳で京都・先斗町の割烹ふじ田 料理長に就任。1997年に独立、 “衹園さゝ木”を開店。2006年八坂通に移転。“衹園さゝ木”の醍醐味、10メートルを超える1枚板のカウンターでのダイナミックな料理スタイルは、まるで舞台のようだと連日多くの客で賑わう。著書“衹園さゝ木 佐々木浩の舞台”はグルマン世界料理本大賞 シェフ部門グランプリ受賞。2009年以降連続ミシュラン2つ星獲得。
プロフィール パティシエ エス コヤマ オーナーシェフ 小山 進さん プロフィール
1964年京都生まれ。2003年兵庫県三田市に“パティシエ エス コヤマ”をオープン。フランスの最も権威のあるショコラ愛好会“C.C.C.”のコンクールでは、2011年の初出品以来、6年連続で最高位を獲得。他、チョコレートの世界的なコンクールで多数の受賞暦もあり、世界的なショコラティエとしてその活動の幅をますます広げている。

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